目次
この記事の要点
- 内装はデザインからではなく、「誰に・何を・どんな体験を」のコンセプト言語化から始める。
- ターゲットと客単価から席数とレイアウトを逆算。収容30人以上で防火管理者の選任が必要。
- 居抜きは内装費200万円〜で予算優先、スケルトンは500万円〜で自由度が高くコンセプト優先。
- 内装外装の工事費は開業資金全体の約3〜4割。坪単価60〜80万円、厨房設備は別途100万円〜が目安。
- 店の世界観は内装だけでなくホームページのデザインにも一貫させると来店前に正しく伝わる。
飲食店の内装は、デザインの好みから決め始めると判断の軸が定まらず、工事が進むほど迷いが増えます。先に決めるべきは内装そのものではなく、店のコンセプトです。誰に・何を・どんな体験を届ける店なのかが言語化できていれば、内装・動線・席数・費用の判断はそこから自然に導けます。この記事では、コンセプトを起点に内装へ落とし込む進め方を整理します。開業全体の流れは飲食店開業 準備チェックリストで確認できます。
コンセプトを言語化する
コンセプトとは、店の方向性を一文で言い切れる状態のことです。「誰に・何を・どんな体験を」の3点を具体的な言葉にすると、内装の判断基準になります。
- 誰に:年齢層・性別・利用シーン(仕事帰りの一人客か、家族連れか、記念日の二人客か)
- 何を:看板メニューと提供スタイル(専門店として絞るか、幅広く揃えるか)
- どんな体験を:滞在時間と雰囲気(さっと食べて帰る店か、ゆっくり過ごす店か)
たとえば「仕事帰りの一人客が、こだわりの一杯をさっと楽しむ店」と「記念日に二人でゆっくり過ごすコース料理の店」では、求められる照明の明るさ、席の間隔、BGMの音量まで変わります。コンセプトが先に決まっていれば、内装の選択は「好きかどうか」ではなく「コンセプトに合うかどうか」で判断できます。
ターゲットと客単価から席数・レイアウトを決める
コンセプトが固まったら、ターゲットと客単価から席数とレイアウトを逆算します。客単価が高くゆっくり過ごす店ほど席の間隔を広くとり、席数は絞ります。回転重視の店は席数を増やし、出入りしやすい動線にします。
- 客席と厨房の面積配分:滞在時間が長い店は客席を広く、回転重視の店は厨房と提供動線を優先する
- 動線:お客さまの動線と、スタッフの配膳・下げ膳の動線が交差しないように設計する
- 席構成:カウンター・テーブル・個室の比率を、想定する利用シーンに合わせる
席数は法規面にも影響します。収容人数が30人以上になると防火管理者の選任が必要になるため、席数を詰め込む前に収容人数の基準を確認しておくと、後からの設計変更を避けられます。
居抜きとスケルトンの選択
物件は、前のテナントの設備が残る「居抜き」と、内装のない状態で借りる「スケルトン」に分かれます。コンセプトと予算のどちらを優先するかで選び方が変わります。
| 項目 | 居抜き | スケルトン |
|---|---|---|
| 内装費の目安 | 200万円〜 | 500万円〜 |
| 自由度 | 既存設備に制約される | コンセプトを反映しやすい |
| 向いているケース | 業態が前テナントと近く、予算を抑えたい | 世界観を作り込みたい・前例のない業態 |
居抜きは初期費用を抑えられる一方、残された厨房や内装がコンセプトに合わないと、結局つくり直して割高になることがあります。スケルトンは自由度が高い分、費用と工期がかさみます。コンセプトを最優先するならスケルトン、予算と開業スピードを優先するなら条件の合う居抜き、という整理で検討すると判断しやすくなります。
内装の費用感
内装外装の工事費は、開業資金全体の約3〜4割を占める大きな費目です。坪単価でみると、飲食店全体で坪あたり60〜80万円程度が初期投資の一つの目安になります。
- 内装外装工事費:居抜きで200万円〜、スケルトンで500万円〜が目安
- 坪単価:坪あたり60〜80万円程度(業態・グレードで変動)
- 厨房設備:内装とは別に100万円〜が目安
厨房設備は内装費に含まれず、別途100万円〜が目安です。これらに加えて物件取得費・備品・運転資金もかかります。費用の全体像と内訳は飲食店開業の資金で詳しく整理しています。
コンセプトはホームページにも一貫させる
内装で作り込んだ世界観は、ホームページのデザインにも一貫させると、来店前のお客さまに店の雰囲気が正しく伝わります。落ち着いた大人の店なのに、ホームページが賑やかで安価な印象だと、期待と実際がずれてしまいます。内装・メニュー・接客・ホームページが同じコンセプトでそろっていることが、お客さまの安心感につながります。
よくある質問
- 居抜きとスケルトンの違いは何ですか?
- 居抜きは前のテナントの内装や設備が残った状態で借りる物件、スケルトンは内装のない状態で借りる物件です。居抜きは初期費用を抑えやすく(内装費の目安200万円〜)、スケルトンは自由度が高くコンセプトを反映しやすい一方で費用がかさみます(同500万円〜)。
- 内装の費用はどのくらいかかりますか?
- 内装外装の工事費は開業資金全体の約3〜4割を占めます。坪単価では坪あたり60〜80万円程度が一つの目安で、厨房設備は別途100万円〜が目安です。居抜きかスケルトンか、業態やグレードによって変動します。
- コンセプトはどう決めればよいですか?
- 「誰に・何を・どんな体験を届けるか」の3点を具体的な言葉にすることから始めます。ターゲットの利用シーン、看板メニューと提供スタイル、滞在時間と雰囲気が定まると、席数・レイアウト・内装の判断基準になります。